草木も眠る丑三つ時。 ふかいふかい森の中、今だ眠りのかいなに捕らわれず在るのは、人ならざる者たち… 具体的には天使に妖精、それから半人半吸血鬼などである。 『いいですか、フロリンダ…』 天使は闇の中姿を消して、同じく身を隠した妖精にこそこそとささやいた。 『はい、天使さま』 フロリンダが、こぶしを握って応じる。 ぱちん、と薪のはぜる音が、夜の静寂に大きくひびいた。 天使は、少し離れたところで火の番をしているクライヴをそっと指した。 青年の横顔は静寂に似て張りつめ、ただ揺れる炎に向けられている。 『ここで見ていてくださいね。…今から、クライヴが笑ってくれますから!』 『がんばってください、天使さま! フロリン、天使さまのご成功を信じてますぅ!』 『では… …行ってきます!!』 妖精の声援を背に受け、天使はゆっくり勇者へと近づいていった。 『クライヴ、これもあなたのためなんです…!』 100%真顔で呟いた天使の手は…… わきわきと勇者の脇腹へ伸ばされていた。 これより先は、自主規制させていただきたく。 |