■ 執事さんと愉快犯な中の人
【キーワード:アルの母】
「あの…アルのお母さんってどんな方だったんですか?」
「………」
「おきれいな方でしたよ。とてもお優しく穏やかで、まさに聖母のようでした」
「聖母…」
「虫も殺せぬような、とは、ああいう方のことでしょう」
「…そうですか」
【キーワード:さまよう女の霊】
「あの…この城に出るって言う女の人の幽霊のことで…」
「………」
「哀れな女性ですね。今も城の中をさまよい続けているとは…」
「可哀想ですね…」
「…ええ、とても。彼女が息子を探し当てることはないでしょうから…」
「………」
未だに見つかってないんだもんな、幽閉された少年って。本当にいるのかな…。
「………」のあとにふっと浮かぶ嘲笑が怖すぎる……!
でも、何も知らずに見れば、ただ切ない微笑みに見えてしまうのもすごいと思います。
ティーロの微笑みって、ひとみはそのままに開いた口もとだけ、じっと見ていないとわからない程度に緩める笑い方のほうは間違いなくティーロ自身のものなんだけれど、目を細めて結んだくちびるの端をつり上げる笑い方は、時々あくまさんですよね、これ。
悪魔が出張ってくるキーワードはけっこうありますが、一番入れ替わりがあざやかだったのは、これかな、というわけでもうひとつ。
【キーワード:礼拝堂】
「この城の礼拝堂って、なんで一番地下にあるんですか?」
「わかりません。この城を建てられた初代伯爵が何故かそうされたのだ、としか」
「…やっぱり、その、伝承の通り黒魔術とかそういう怖い理由が…」
-------あくまさんのターン-------
「………」
「その可能性はございますね」
「そうなんですかっ!? や、やっぱり…」
「言い伝えの通り初代が黒魔術師であったなら、あの礼拝堂は当然見た目通りの物ではないのでしょう。
だから地下深くに埋めた。祈りを捧げる相手が神ではないことを隠すために…」
-------あくまさんのターン終------
「わかりましたっ! ごめんなさい、もういいですっ!!」
「………」
「…何をそんなに慌てておいでなのです?」
「だ、だって怖いですよ…」
「…? 礼拝堂が城の一番地下にあることがですか?」
「え…ええ…」
「ご心配なく。地下にあるという事以外は特に変わった事はございません」
「はあ…」
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