02. 乾いた道 [ Seilong * Fair ] 「がんばってね、セイロン」 告げるわたしの表情は、ちゃんと笑顔になってるかな。 「あなたなら、きっと辿りつけるって信じてるから」 ねえ、至竜になって、それからあなたはどうするっていうの? 「半人前の妖精だけど」 祝福だなんてかこつけて、あなたの襟を引いて、背伸びして、そのひたいに口づけをした。 「……あなたの行く道が、幸せなものになるように、祈ってる」 遠ざかるあなたのまっすぐ伸びた背中を見ている足もとに、あふれ出た涙が ぽつりぽつりと小さな染みをつくっていく。 わたしの指に、からだに、妖精の奇跡が宿るのならば。 去り行くあなたの旅立ちを、やさしく祝する雨なんかじゃなく。 永く乾いたその道行きを焼き尽くしてしまうための、天の火が欲しかった。 |