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12. 腕のなかで



「また一人になったって、大丈夫。そばで誰かに守ってもらわなきゃならないほど、わたし弱くなんてないよ。セイロンだって、よく知ってるでしょ?」
 まわした腕のなか、泣き笑いを浮かべる彼女のその言葉こそが強がりなのだと知っていて、そう指摘する言葉を、我は持たない。
「うむ。……達者でな、店主殿」

 代わりに告げた祈りは本心と、同じくらいの欺瞞に満ちていた。
 孤独こそを何より恐れる子どもと知っていて、我はこの地を去っていく。

 守護の誓いを違える罪を罪として糾弾する声を、そなたが持たざることがなお辛いなどと、そんな甘ったれた泣き言をいう権利などあるはずもない。
 胸をじくじくと蝕む痛みを抱いて、ひとり、歩きつづけるばかりだ。





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