第4話 素敵な若様、大暴走! 〜Dragon War Cry〜
「ちゃんと自分で責任がとれるようになってから、言いなさい!」
リュームが荷運びに使われていた召喚獣たちのたづなをほどいて、逃がしてしまったことから起こった大騒ぎ。自分は間違ってないとさけんだリュームに、フェアが告げたひとこと。
たとえば、成人していないこと。お金がないこと。社会的地位がないこと。どんな理由であれ、それらの不備によって、己の選択にともなう結果に責任をもてないのならば、まず、その選択をする権利自体がありはしない。たとえ正しいと信じての行動であったとしても、そのことが免罪符にはならないのだと。これって、理想論の強いサモンシリーズではわりと新しい視点ですよね。
ちょこっと話は脇にそれますが。
たとえ己と同じ種族でなくとも、身体的に似通った点が多く、高い知能を持っている、己と意思疎通ができる生き物。つまり理解しあう手段のある生き物を、たんなるモノとして消費することをためらうというのは、わりと自然な感覚のように思います。
そしてそれこそが、サモンシリーズにおいて、大切にされているテーマなんじゃないかな、と。
重要なのは、異世界の生き物であるかどうかということではなく、多少見かけが違おうとも、意思疎通できる異国の人間を蔑視し、奴隷として使うことに覚える違和感。
荷運びに使う馬があまりに酷使されていたら、痛い、苦しいという感覚のある生き物なんだから、もっと大事に扱ってやればいいのに、と思う憐れみ。
そこにあるのは高邁な理想でも正義でもなく、ただ、他者への強い共感。そういう感覚をもちあわせた人物だけが、サモンナイトシリーズの主人公たりうるのであって、だからこそ彼らの口にすることばは、感情的でつっこみどころ満載、ともすれば他人にも不利益を強いる、ある一面では身勝手さも秘めた考え方でもあるのだけれど、でも、この作品においてはそれでいいんだと思っています。
閑話休題。
リュームの召喚獣逃がしちゃったよ事件で、みんなに「言い過ぎだ!」「無責任だ!」と責められて、かんしゃくを起こして宿を飛び出しちゃったフェアに、自身もまだまだこどもなのに周囲に頼られ、何でもおまかせされてきたことで積もり積もってきた鬱屈が見えて、ああこれならたしかに、ほんとうは自分だって甘えたい、守ってもらいたいのにどうして、そう思いたくもなるよなあ、と……。
そのあと、リュームの言い分にどきっとしてつい必要以上に激高したことへの気まずさや、保護者なんてやめてやる宣言で傷ついただろうリュームへの申し訳なさ、自分で決めたことなのにその責任を放り出そうとした自分への情けなさやらでへこんでるフェアがまた。かわいいなあ、この子!
そして、本チャプター初登場のセイロン! なんですかこのひと! 私の直球ど真ん中ですよ!?
フェアには、うさんくさくてエラそうな変わりものと断じられた彼ですが。
前述の状況でとんがっている彼女のつっけんどんな物言いに怒るでもなく、毛を逆立てた子猫を相手に楽しんでいるかのような余裕っぷりが!
本当の貴人だけが持ちうる鷹揚さと、節々に表れる威厳、どんな状況をも好奇心を持って眺めることのできる度量にときめきます。あの見かけで武術の達人とか、もうね!
女の子ふたりのひそひそ話、「ねえねえ、あのひとって意外に、根は真面目なんじゃない?」
「うん、そうかも」 (中略) 「前言撤回…」 「右に同じ…」 にはちょっと笑いました。
いや、彼は別におちゃらけているわけではなく純粋に自分のやりたいようにやっているだけで、実際のところ、根は真面目なんだと思います(笑)
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